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本章では、JavaScript のモジュールを使い始めるために必要なことすべてを紹介します。
JavaScript のプログラムはとても小さいものから始まりました。初期の用途は、必要に応じてウェブページにちょっとした対話的な機能を追加する独立したスクリプト処理がほとんどであったため、大きなスクリプトは通常必要ありませんでした。そして何年かが過ぎ、今や大量の JavaScript を持つ完全なアプリケーションをブラウザーで実行することはもちろん、JavaScript を他のコンテキスト(例えば Node.js)で使うこともあります。
複雑なプロジェクトでは、必要に応じて JavaScript プログラムを別個のモジュールに分割し、インポートできる仕組みが必要です。 Node.js は長年この機能を提供しており、モジュールの利用を可能にする JavaScript ライブラリーやフレームワークも数多くあります(例えば、他の CommonJS や、AMD ベースのモジュールシステムである RequireJS、 webpack や Babel)。
現行のブラウザーはすべて、トランスパイルを必要とせずにモジュール機能にネイティブで対応しています。これは良いことであるに違いありません。ブラウザーはモジュールの読み込みを最適化することができ、ライブラリーを使用してクライアント側で余分な処理や余分なラウンドトリップを行うよりも効率的です。しかし、 webpack のようなバンドラーが不要になるわけではありません。バンドラーは、コードを合理的なサイズの塊に分割する作業に依然として優れており、また、ミニファイ、デッドコードの排除、ツリーシェイクなどの最適化も可能です。
モジュールの使い方を紹介するために、GitHub 上に一連の例を作りました。これらは、ウェブページに <canvas> 要素を追加し、そのキャンバス上にいくつかの異なる図形(と、それに関するレポート)を描画するモジュールの例です。
このような機能はあまり役に立ちませんが、モジュールの説明が明確になるように意図的に単純にしています。
メモ: 使用例をダウンロードしてローカル実行する場合、ローカルのウェブサーバー上で実行する必要があります。
最初の例 (basic-modules を参照) は、次のようなファイル構造になっています。
index.html main.js modules/ canvas.js square.jsメモ: このガイドの使用例のファイル構造は、全て基本的に同一ですので、上記のファイル構造をよく見ることになるでしょう。
modules ディレクトリーには、次の 2 つのモジュールがあります。
canvas.js — キャンバスの設定に関する次の関数を持ちます。
square.js — 次のものを持ちます。
この記事ではモジュールファイルに .js の拡張子を使用していますが、他の記事では .mjs という拡張子が使用されているのを目にすることがあるかもしれません。例えば、V8 のドキュメントではこれを推奨しています。理由は以下の通りです。
しかし、少なくとも今のところは .js を使い続けることにしました。ブラウザーでモジュールを正しく動作させるためには、サーバーが Content-Type ヘッダーで JavaScript の MIME タイプ、例えば text/javascript などを含めて提供していることを確認する必要があります。そうしないと、"The server responded with a non-JavaScript MIME type" のような厳格な MIME タイプチェックエラーが表示され、ブラウザーは JavaScript を実行しません。ほとんどのサーバーでは、.js ファイルにはすでに正しい MIME タイプが設定されていますが、.mjs ファイルにはまだ設定されていません。すでに .mjs ファイルを正しく提供しているサーバーには、GitHub Pages や Node.js の http-server などがあります。
これは、すでにそのような環境を使用している場合や、今はまだ使用していないが、何をしているか知っていてアクセスできる場合には問題ありません(つまり、.mjs ファイルに正しい Content-Type を設定するようにサーバーを設定することができます)。しかし、あなたがファイルを提供しているサーバーを制御できない場合には、混乱を引き起こす可能性があります。
この記事では学習と移植性を考慮して、.js を使用することにしました。
通常の JavaScript ファイルに .js を使用するのと比較して、モジュールに .mjs を使用することの明確さを本当に重視しているが、上記の問題に直面したくない場合は、開発中に .mjs を使用し、ビルドステップで .js に変換することをおすすめします。
また、次の点にも注意してください。
モジュールが持つ機能にアクセスするために最初に必要なことは、そのような機能をエクスポートすることです。これは export 文を使って行います。
最も簡単な使い方は、モジュール外部に公開したい項目の前に export をつけることです。
エクスポートできるものは、関数、var、let、const、および後述するクラスです。これらは最上位の階層にある必要があります。例えば、関数内で export を使うことはできません。
エクスポートしたい全ての項目をエクスポートするより便利な方法は、モジュールファイルの末尾に単一の export 文を追加し、その後にエクスポートしたい機能のカンマ区切りリストを中かっこで囲んで続けることです。例えば次のようにします。
モジュールから何らかの機能をエクスポートした後は、それらを使えるようにするためにスクリプトにインポートする必要があります。その最も単純な方法は次のとおりです。
import 文の後ろに、中かっこで囲まれたインポートしたい機能のカンマ区切りリストを続け、その後ろに from キーワードと、モジュール指定子を続けます。
モジュール指定子は、JavaScript 環境がモジュールファイルへのパスを解決できる文字列を提供します。 ブラウザーでは、これはサイトルートからの相対パスとなり、basic-modules の例では /js-examples/module-examples/basic-modules となります。 しかし、ここでは代わりにドット(.)構文を使用して、「現在の場所」を意味しており、その後に探そうとしているファイルへの相対パスを記述しています。相対パスの方が短いし、URL の移植性も高いので、この例はサイト階層の別の場所に移しても作業することができますから、絶対パス全体を毎回書き出すよりもずっとよいでしょう。
そのため、次のようなパスは、
次のように書くことができます。
このような書き方の動作している例は main.js にあります。
メモ: モジュールシステムの中には、相対パスでも絶対パスでもなく、ファイル拡張子もない modules/square のようなモジュール指定を使用するものがあります。 このような指定子は、最初にインポートマップを定義しておけば、ブラウザー環境でも使用できます。
スクリプトへ機能をインポートすると、同じファイル内で定義されているのと同じように使うことができます。次のコードは、main.js でインポートに続く部分です。
メモ: インポートされた値は、エクスポートされた機能の読み取り専用ビューとなります。const 変数と同様に、インポートされた変数を再代入することはできませんが、オブジェクト値のプロパティを変更することは可能です。値を再代入することができるのは、その値をエクスポートしているモジュールだけです。例として、import のリファレンス を参照してください。
ブラウザーがモジュールをインポートするのに、絶対 URL か、文書のベース URL を使用して解決される相対 URL であるモジュール指定子を使用する方法は、前述したとおりです。
インポートマップにより、モジュールをインポートするときに、モジュール指定子でほぼ全ての好きなテキストを代わりに指定することができます。このマップは、モジュールの URL が解決されたときにテキストを置き換える対応する値を提供します。
例えば、下記のインポートマップの imports キーは、「モジュール指定マップ」JSON オブジェクトを定義し、プロパティ名をモジュール指定子として使用でき、ブラウザーがモジュール URL を解決する際に対応する値が代入されます。 値は、絶対 URL または相対 URL でなければなりません。 相対 URL は、インポートマップを含む文書のベース URL を使用して絶対 URL アドレスに解決されます。
インポートマップは <script> 要素の中の JSON オブジェクト で、 type 属性を importmap に設定して定義することができます。 なお、インポートマップは文書内の特定の要素にのみ適用されることに注意してください。仕様では、ワーカーやワークレットのコンテキストでインポートマップを適用する方法についてはカバーされていません。
このマップで、上記のプロパティ名をモジュール指定子として使用することができるようになりました。 モジュール指定子キーに末尾のスラッシュがない場合は、モジュール指定子キー全体が照合されて置換されます。 例を説明すると、下記はモジュール名と一致し、URL を別のパスに再マップしています。
モジュール指定子が末尾にスラッシュがある場合、値が同様にスラッシュを持つ必要があり、キーは「パス接頭辞」として照合されます。 これにより、URL の全クラスを再マッピングすることができます。
インポートマップ内の複数のキーがモジュール指定子を有効に一致することがあります。 例えば、shapes/circle/ というモジュール指定子は、shapes/ と shapes/circle/ というモジュール指定子キーと一致する可能性があります。 この場合、ブラウザーは最も具体的な(最も長い)モジュール指定キーに一致するものを選択します。
インポートマップは、(Node.js のように)素のモジュール名を使用してモジュールをインポートすることができ、ファイル拡張子の有無にかかわらず、パッケージからのインポートをシミュレートすることも可能です。 上記では示していませんが、モジュールをインポートするスクリプトのパスに基づいて、特定のバージョンのライブラリーをインポートすることもできます。 一般的に、これらは開発者がより人間に優しいインポートコードを書くことを可能にし、サイトで使用されるモジュールの異なるバージョンと依存関係を管理することを容易にします。 これにより、ブラウザーとサーバーの両方で同じ JavaScript ライブラリーを使用するために必要な労力を縮小することができます。
以下の節では、上記で説明した様々な機能について、さらに詳しく説明します。
インポートマップに対応しているかどうかは、HTMLScriptElement.supports() 静的メソッドを使用してチェックすることができます(これ自体は広く対応しています)。
Node.js のような一部の JavaScript 環境では、モジュール指定子に素の名前を使用することができます。 これは、環境がモジュール名をファイルシステム内の標準的な場所に解決することができるため、動作します。 例えば、 "square" モジュールをインポートするために、以下の構文を使用することができます。
ブラウザーで素の名前を使用するには、インポートマップが必要です。これは、ブラウザーがモジュール指定子を URL に解決するために必要な情報を提供します(JavaScript は、モジュールの場所に解決できないモジュール指定子をインポートしようとすると TypeError を発生します)。
下記は square というモジュール指定子のキーを定義したマップですが、この場合、相対アドレスの値に割り当てられました。
このマップにより、モジュールをインポートするときに素の名前を使用することができるようになりました。
モジュール指定子マップの項目で、指定子キーとその関連値に末尾のフォワードスラッシュ (/) がある場合、パス接頭辞として使用することができます。 これにより、インポート URL の集合全体を、ある場所から別の場所に再マッピングすることができます。 また、Node の環境で見られるような「パッケージとモジュール」の作業をエミュレートするために使用することもできます。
メモ: 末尾の / は、モジュール指定子キーがモジュール指定子の一部として指定することができることを示します。 これが存在しない場合、ブラウザーはモジュール指定子キー全体にのみ一致します(置換します)。
以下の JSON インポートマップ定義は、lodash を素の名前として、モジュール指定辞 lodash/ をパス /node_modules/lodash-es/ (文書のベース URL に解決)に割り当てたものです。
このマッピングを使用すると、素の名前を使用する「パッケージ」全体と、(パスマッピングを使用する)その中のモジュールの両方をインポートすることができます。
上記の fp を .js というファイル拡張子なしでインポートすることは可能ですが、パスを使用するのではなく、lodash/fp というように、そのファイルに対して素のモジュール指定子キーを作成する必要があります。 これは、1 つのモジュールだけなら妥当かもしれませんが、多くのモジュールをインポートしたい場合には、拡大縮小することになります。
モジュール指定キーはパスである必要はなく、絶対 URL(または ./, ../, / のような URL ライクな相対パス)であってもかまいません。 これは、リソースへの絶対パスを持つモジュールを自分自身でローカルリソースと再マッピングしたい場合に有用な場合があります。
Node のような環境では、モジュールとその依存関係を管理するために npm のようなパッケージマネージャーを使用します。 パッケージマネージャーは、各モジュールが他のモジュールやその依存関係から確実に区切られるようにします。 その結果、複雑なアプリケーションでは、モジュールグラフの異なる部分に複数の異なるバージョンで同じモジュールを複数回記載することができますが、ユーザーはこの複雑さについて考える必要はありません。
メモ: 相対パスを使用してバージョン管理を行うこともできますが、この方法は他にも、自分のプロジェクトに特定の構造を強制し、素のモジュール名を使用することができないなどの点で劣ります。
インポートマップも同様に、アプリケーションに複数のバージョンの依存関係を保有し、同じモジュール指定子を使用してそれらを参照することができます。 これを実装するために scopes キーを使用します。このキーでは、インポートを実行するスクリプトのパスに応じて使用されるモジュール指定子マップを提供することができます。 下記の例では、これを実演しています。
このマッピングでは、 /node_modules/dependency/ を格納した URL のスクリプトが cool-module をインポートしている場合、 /node_modules/some/other/location/cool-module/index.js にあるバージョンが使用されます。 imports のマップは、スコープされたマップに一致するスコープがない場合、または一致するスコープに一致する指定するものが格納されていない場合に、予備として使用されます。例えば、cool-module がスコープパスに一致しないスクリプトからインポートされた場合、代わりに imports のモジュール指定子マップを使用し、 /node_modules/cool-module/index.js にあるバージョンにマッピングします。
なお、スコープを選択するために使用されるパスは、アドレスの解決方法には影響しません。 割り当てられたパスの値がスコープのパスと一致する必要はありませんし、相対パスは依然としてインポートマップを格納するスクリプトのベース URL に解決されます。
モジュール指定子マップの場合と同様に、多くのスコープキーを保有することができ、これらには重複するパスが格納される可能性があります。 複数のスコープがリファラーURLに一致する場合、最も固有のスコープパスが最初に(最も長いスコープキーが)指定子を指定しないか調べられます。 ブラウザーは、一致する仕様がない場合、次に一致するほとんどのスコープパスにフォールバックし、さらにその先に進みます。 一致するスコープのいずれにも一致する指定子がない場合、ブラウザーは imports キーのモジュール指定子マップに一致する指定子があるかどうかを調べます。
ウェブサイトで使用されるスクリプトファイルは、キャッシュを容易にするためにハッシュ化されたファイル名にすることがよくあります。 この手法の欠点は、モジュールが変更された場合、そのハッシュ化されたファイル名を使用してそれをインポートするすべてのモジュールも更新/再生成する必要があることです。 このため、潜在的に更新のカスケードが発生し、ネットワークリソースを浪費することになります。
インポートマップは、この問題に対する便利な解決策を提供します。 アプリケーションやスクリプトは、固有のハッシュ化されたファイル名ではなく、代わりにモジュール名(アドレス)のハッシュ化されていないバージョンに依存します。 下記のようなインポートマップは、実際のスクリプトファイルへのマッピングを提供します。
もし dependency_script が変更された場合、ファイル名に格納されているハッシュも変更されます。この場合、モジュールの名前の変更を反映するためにインポート マップを更新するだけでよくなります。 import 文の指定子は変わらないので、これに依存する JavaScript コードのソースを更新する必要はありません。
統一されたモジュールアーキテクチャがもたらす魅力的な機能のひとつに、JavaScript以外のリソースをモジュールとして読み込む機能があります。例えば、 JSON を JavaScript オブジェクトとして、または CSS を CSSStyleSheet オブジェクトとしてインポートすることができます。
インポートするリソースの種類を明示的に宣言する必要があります。 既定では、ブラウザーはリソースが JavaScript であると想定し、解決されたリソースがそれ以外の場合にはエラーが発生します。 JSON、CSS、またはその他のリソースをインポートするには、import 属性構文を使用します。
ブラウザーはモジュール型の検証も行います。例えば、./data.json が JSON ファイルに解決されない場合は失敗します。これにより、データをインポートするだけで、誤ってコードが実行されないことを保証します。インポートが正常に完了すると、インポートした値を通常の JavaScript オブジェクトまたは CSSStyleSheet オブジェクトとして使用することができます。
次に main.js モジュールを HTML ページに適用する必要があります。これは少し重要な点に違いがありますが、通常のスクリプトをページに適用する方法ととてもよく似ています。
最初に type="module" を <script> 要素に含めることで、そのスクリプトがモジュールであることを宣言します。main.js をインポートするには、次のようにします。
また、JavaScript コードを <script> 要素の本文内に配置することで、モジュールのスクリプトを HTML ファイルに直接埋め込むこともできます。
import および export 文はモジュール内でのみ使用することができ、通常のスクリプトでは使用できません。 <script> 要素に type="module" 属性がなく、他のモジュールをインポートしようとした場合、エラーが発生します。例えば次のような場合です。
通常、すべてのモジュールを個別のファイルで定義する必要があります。 HTML にインラインで宣言されたモジュールは、他のモジュールをインポートすることはできますが、それらがエクスポートする何らかの情報は、他のモジュールからアクセスすることはできません(URL を保有していないため)。
メモ: モジュールとその依存関係は <link> 要素で rel="modulepreload" を指定することで、事前読み込みすることができます。 これにより、モジュールを使用する時点での読み込み時間を大幅に縮小することができます。
モジュールで定義した変数は、グローバルオブジェクトに明示的に割り当てられない限り、そのモジュールのスコープに属します。他にも、グローバル定義する変数は、モジュール内で利用できます。例えば、以下のコードが指定された場合は次のようになります。
グローバル変数 text と document はモジュール内で利用できるので、ページにはまだ Hello が表示されます。(この例から、モジュールは必ずしも import/export 文を必要としないことにも注意してください。必要なことは、エントリーポイントに type="module" があることだけです)。
これまでエクスポートした機能は、名前付きエクスポート (named export) というものです。それぞれの項目(関数、const など)は、エクスポート時にその名前を参照されて、インポート時にもその名前で参照されます。
エクスポートの種類には、他にデフォルトエクスポート (default export) と呼ばれるものもあります。これは、モジュールがデフォルトの機能を簡単に持つことができるように設計されたもので、また JavaScript のモジュールが既存の CommonJS や AMD のモジュールシステムと相互運用できるようになります (Json Orendorff による ES6 In Depth: Modules で上手く説明されています。"Default exports" で検索してみてください)。
どのように動作するか説明するので、使用例をみてみましょう。basic-modules の square.js に、ランダムな色、大きさ、位置の正方形を描く randomSquare() という関数があります。この関数をデフォルトとしてエクスポートしたいので、ファイルの末尾に次の内容を書きます。
中かっこがないことに注意してください。
または、export default を関数に追加して、次のように匿名関数のように定義することもできます。
main.js では、次のようにしてデフォルトの関数をインポートします。
インポートの時にも中かっこがないことに注意してください。これは、デフォルトエクスポートはモジュールごとにひとつしか作れず、randomSquare がそれであることがわかっているからです。上記は、基本的に次の簡略表現です。
メモ: エクスポートされる項目の名前を変更するために使われる as 構文については、以下の インポートやエクスポートの名前を変更するの節で説明します。
これまでのところ、キャンバスに図形を描く私たちのモジュールは正常に動作しているようです。しかし、円や三角形など別の図形を描くモジュールを追加しようとしたらどうなるでしょう? そのような図形にも draw() や reportArea() のような関数があるかもしれません。もし同じ名前を持つ異なる関数を同じトップレベルのモジュールファイルにインポートしようとすると、最終的に名前の衝突によるエラーが起きるでしょう。
幸いなことに、これに対処する方法はいくつかあります。それらについて、次のセクションで見ていきましょう。
import 文や export 文の中かっこの中では、キーワード as と新しい名前を使うことで、トップレベルのモジュールでその機能を使うときの名前を変更することができます。
例えば、次のどちらも同じ仕事をしますが、少し異なる方法で行います。
実際の例を見てみましょう。renaming ディレクトリーでは、前の使用例と同じモジュールを使っていますが、円や三角形を描画するためのモジュールである circle.js と triangle.js も追加しています。
それぞれのモジュール内部では、同じ名前を持つ機能がエクスポートされており、それゆえそれぞれの末尾の export 文は次のように同一であることがわかります。
これらを main.js にインポートするために、次のようにするとします。
すると、ブラウザーは "SyntaxError: redeclaration of import name" (構文エラー: インポート名の再宣言) (Firefox の場合) のようなエラーを発生させるでしょう。
そのため、それぞれが固有の名前を持つようにするために、次のようにインポートの名前を変える必要があります。
他の方法として、例えば次のようにすることで、モジュールファイル側でこの問題を解決することもできます。
これも同じように機能します。どちらのスタイルを取るかはあなた次第ですが、モジュール側のコードはそのままにしてインポート側を変更する方が、間違いなく賢明です。これは、制御できないサードパーティーのモジュールからインポートするときには、特に意味があります。
上記のインポート方法は正常に動作しますが、少し使いづらく冗長です。よりよい方法は、モジュール内のそれぞれの機能を、モジュールオブジェクトの中にインポートすることです。その構文は次のとおりです。
これは、module.js の中にある全てのエクスポートを取得して、それらを Module というオブジェクトのメンバーとして利用できるようにすることで、独自の名前空間を持たせるような効果があります。次のようにして使います。
実際の使用例を見てみましょう。module-objects ディレクトリーでは、また同じ例を使っていますが、この新しい構文を利用するために書き直されています。モジュール内のエクスポートは、いずれも次の単純な構文を使っています。
一方でインポートは次のようなものです。
どの場合も、その指定されたオブジェクト名の配下からモジュールのインポートにアクセスできます。例えば次のようにして使います。
このように (必要な箇所にオブジェクトの名前を含むようにさえすれば) コードは以前と同じように書くことができ、そしてインポートはより簡潔になります。
最初の方で触れましたが、クラスをエクスポートしたりインポートすることもできます。これがコード上で名前の衝突を避けるもう一つの方法で、もし自分のモジュールを既にオブジェクト指向のスタイルで書いているのであれば、特に便利です。
classes ディレクトリーの中には、私たちの図形を描くモジュールを ES クラスを使って書き直した例があります。例えば square.js ファイルでは、次のように全ての機能を一つのクラスの中に持たせています。
そして、次のようにエクスポートします。
main.js では、これを次のようにインポートします。
そして、正方形を描くために次のようにクラスを使います。
複数のモジュールをひとつに集約させたいと思うことがあるかもしれません。依存性の階層は複数になることがあり、いくつかあるサブモジュールをひとつの親モジュールにまとめて管理を単純化したいと思うかもしれません。これは、親モジュールで次の形式によるエクスポート構文を使うことで可能です。
使用例は module-aggregation ディレクトリーを参照してください。この例 (クラスを使った以前の例を元にしています) には、shapes.js というモジュールが追加されています。これは circle.js、square.js、triangle.js の全ての機能をひとつに集約したものです。また、サブモジュールを modules ディレクトリーの中にある shapes というサブディレクトリーに移動させています。つまり、この例のモジュール構造は次のようなものです。
modules/ canvas.js shapes.js shapes/ circle.js square.js triangle.jsそれぞれのサブモジュールでは、例えば次のような同じ形式のエクスポートが行われています。
その次は集約を行う部分です。shapes.js の内部には次のような行があります。
これらは、個々のサブモジュールのエクスポートを取得して、それらを shapes.js モジュールから利用できるようにする効果があります。
メモ: shapes.mjs の中で参照されているエクスポートは、基本的にそのファイルを経由して転送されるだけで、ファイルの中には存在しません。そのため、同じファイルの中でそれらを使ったコードを書くことはできません。
最後に main.js ファイルでは、全てのモジュールのクラスにアクセスするために、次のインポートを書き換えています。
書き換え後は、次のような 1 行になります。
ブラウザーで利用できる JavaScript モジュールの最新機能は、動的なモジュールの読み込みです。これにより、全てを最初に読み込んでしまうのではなく、必要が生じたときにのみ動的にモジュールを読み込むことができます。これには明らかなパフォーマンス上の利点があります。どのように動作するのか、読んで見てみましょう。
この新しい機能により、import() を関数として呼び出し、そのときの引数としてモジュールへのパスを指定することができます。これは次のように Promise を返し、エクスポートにアクセスできるモジュールオブジェクト(モジュールオブジェクトの作成を参照)を使って履行状態になります。
メモ: 動的インポートは、ブラウザーのメインスレッド、共有ワーカー、専用ワーカーで許可されています。 しかし、サービスワーカーやワークレットで import() を呼び出すと、例外が発生します。
例を見てみましょう。dynamic-module-imports ディレクトリーには、以前のクラスの例に基づいた別の使用例があります。しかし、今回は使用例が読み込まれたときにはキャンバスに何も描画しません。その代わり "Circle" (円)、"Square" (正方形)、"Triangle" (三角形) という 3 つのボタンを表示し、それらが押されたとき、対応した図形を描くために必要なモジュールを動的に読み込んで使用します。
この使用例では index.html と main.js のみを変更しており、モジュールのエクスポートは以前と同じままです。
main.js では、それぞれのボタンへの参照を取得するために、次のように document.querySelector() を使っています。
そしてそれぞれのボタンに、押されたときに関連するモジュールを動的に読み込んで図形を描くためのイベントリスナーを設定します。
なお、履行されたプロミスはモジュールオブジェクトを返すので、クラスはそのオブジェクトのサブフィーチャーとなり、これでコンストラクターには Module.Square( /* ... */ ) のように Module. を先頭に付けてアクセスする必要があります。
動的インポートのもう一つの利点は、スクリプト環境であっても常に利用できるということです。したがって、HTMLに既存の <script> タグがあり、そのタグに type="module" がない場合でも、モジュールとして配布されているコードを動的にインポートして再利用することができます。
最上位の await は、モジュール内で利用できる機能です。つまり、await キーワードを使用することができます。これは、モジュールが大きな非同期関数として動作できるようにするもので、親モジュールで使用する前にコードを評価できますが、兄弟モジュールの読み込みをブロックすることはしません。
例を見ていきましょう。この節で記述するすべてのファイルとコードは top-level-await ディレクトリーにあり、前回までの例から拡張されています。
まず最初に、別個の colors.json ファイルでカラーパレットを宣言します。
次に、getColors.js というモジュールを作成します。このモジュールは読み取りリクエストを使って colors.json ファイルを読み込み、そのデータをオブジェクトとして返すようにします。
ここで最後のエクスポート行に注目してください。
キーワード await を、定数 colors を指定したエクスポートの前に使用しています。これは、このモジュールを含む他のモジュールは、colors がダウンロードされ、解釈されるまで待ってから使用することを意味しています。
このモジュールを main.js ファイルに含めてみましょう。
シェイプ関数を呼び出す際に、前回使用された文字列の代わりに colors を使用することにします。
これは main.js 内のコードが getColors.js 内のコードを実行するまで実行されないので有益です。しかし、他のモジュールが読み込まれるのをブロックすることはありません。例えば、canvas.js モジュールは、colors が読み込まれている間、読み込みを継続します。
インポート宣言が巻き上げが行われます。この場合、インポートされた値は、宣言した場所よりも前にモジュールのコードで利用できるということ、そして、インポートされたモジュールの副作用は、モジュールの残りのコードが実行し始める前に生じるというということです。
例えば、main.js でコードの途中で Canvas をインポートしても、これは動作します。
それでも、コードの一番上にインポートをすべて配置することは良い習慣とされており、依存関係の分析が容易になります。
モジュールは他のモジュールをインポートすることができ、それらのモジュールは他のモジュールをインポートすることができ、といった具合に、モジュールは他のモジュールをインポートすることができます。これは「依存グラフ」と呼ばれる有向グラフを形成します。理想的な世界では、このグラフは循環しません。この場合、深さ優先探索を使用してグラフを評価することができます。
しかし、循環はしばしば避けられません。モジュール a がモジュール b をインポートしている場合、b が直接または間接的に a に依存していると、循環インポートが発生します。
循環インポートは常に失敗するわけではありません。インポートされた変数の値は、その変数を実際に使用する際にのみ取得され(したがって、ライブバインディングが可能になります)、その時点において変数が未初期化の状態である場合にのみ、 ReferenceError が発生します。
この例では、a と b の両方が非同期で使用されています。そのため、モジュールが評価される時点では、 b も a も実際に読み込まれることはなく、残りのコードは通常通り実行され、 2 つの export 宣言により a と b の値が生成されます。その後、タイムアウト後に a と b の両方が利用できるようになり、 2 つの console.log 文も通常通り実行されます。
コードを変更して a を同期的に使用すると、モジュール評価は失敗します。
これは、JavaScript で a.js を評価する際、a.js の依存関係である b.js を最初の段階で評価する必要があるためです。しかし、b.js は a を使用しており、a はまだ利用できません。
一方、コードを変更して b を同期的に、a を非同期的に使用するようにすると、モジュール評価は成功します。
これは、 b.js の評価が正常に完了するため、 a.js が評価される際に b の値が利用できるためです。
自分のプロジェクトでは、循環インポートは通常避けるべきです。なぜなら、コードにエラーの可能性が生じるからです。一般的な循環除去テクニックには、以下のようなものがあります。
しかし、ライブラリーが互いに依存している場合にも循環インポートが発生することがあり、修正するのはより困難です。
モジュールの導入により、JavaScript の環境では、コードをモジュール方式で配布し、再利用することが奨励されています。しかし、それは必ずしも JavaScript コードの一部がすべての環境で実行できることを意味しているわけではありません。例えば、ユーザーのパスワードの SHA ハッシュを生成するモジュールを開発したとします。ブラウザーのフロントエンドで使用することはできますか? Node.js サーバーで使用することはできますか?答えは、「場合による」です。
前回示したように、モジュールは依然としてグローバル変数にアクセスすることができます。モジュールが window のようなグローバルを参照する場合、ブラウザーでは実行できますが、Node.js サーバーでは window が利用できないため、エラーが発生します。同様に、コードが機能するために process へのアクセスを必要とする場合、それは Node.js でしか使用できません。
モジュールの再利用性を最大化するために、コードを「同型」にする、つまり、どのランタイムでも同じ挙動を示すようにすることがよく推奨されます。これは、一般的に3つの方法で達成されます。
モジュールを「コア」と「バインディング」に分割します。「コア」では、ハッシュを計算するような純粋な JavaScript のロジックに焦点を当て、DOM、ネットワーク、ファイルシステムへのアクセスは一切行わず、ユーティリティ関数を公開します。「バインディング」では、グローバルコンテキストからの読み書きができるようにします。例えば、「ブラウザーバインディング」では入力ボックスから、「Node バインディング」では process.env から値を読み込むことができますが、どちらの配置から読み込んだ値も同じコア関数に接続し、同じように処理されることにします。コアはどの環境でもインポートして同じように使用することができ、通常軽量であるバインディングだけをプラットフォームに固有であるようにします。
特定のグローバルが使用される前に存在するかどうかを検出します。例えば、typeof window === "undefined" と判定された場合、おそらく Node.js 環境であるため、DOM を読むべきではないことが分かります。
これは、2 つの分岐が実際に同じ動作(「同型」)で終わるのであれば、環境設定としては好ましいものです。同じ機能を提供することが不可能な場合、あるいは、未使用の部分が多いまま大量のコードを読み込む必要がある場合は、代わりに異なる「バインディング」を使用するのがよいでしょう。
足りない機能の代替を提供するために、ポリフィルを使用します。例えば、Node.js で v18 以降しか対応していない fetch 関数を使用したい場合、 node-fetch が提供するような同様の API を使用することができます。動的インポートによって条件付きで行うことができます。
globalThis 変数は、どの環境でも利用できるグローバルオブジェクトで、モジュール内でグローバル変数を読み込んだり作成したりしたい場合に有益です。
これらの実践は、モジュールに固有のものではありません。それでも、コードの再利用性やモジュール化の流れから、使用可能な限り多くの人に楽しんでもらえるように、コードをクロスプラットフォームにすることが推奨されています。Node.js のようなランタイムも、ウェブとの相互運用性を高めるために、使用可能な範囲で積極的にウェブ API を実装しています。
これらは、モジュールの動作に問題があるときに助けになるかもしれないヒントです。もし他にあれば自由にリストに追加してください。
This page was last modified on 2026年3月17日 by MDN contributors.
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